月曜日, 4月 23, 2007

NAB2007にて、その4(SONY後半)

07: Sonaps:日本で開催されたInterBEE2006で発表のあったHDベースのニュース制作統合環境がNAB2007でもデビュー、「日本SGI(株)社製 SANソリューション」を採用、ITネットワークの活用して、取材から編集/送出/アーカイブにいたるワークフローを実現するHDトータルニュース制作システムであります。マルチフォーマット・メディアサーバーのMediaVenueを核にシステムは構成されています。


08: Theater:招待者向けのシアターは例年のように4Kデジタルシネマの映写会場、
公開間近の「スパイダーマン3」の音声が外部にまで聞こえていました。5月の公開では、iMaxシアターのデジタルシネマ上映館でぜひ観てみたいものです。このプロジェクタはXRDパネルを使用したもので、4K SXRD (Silicon X-tal Reflective Display)の最上位機種SRX-R110は1万ルーメンで885万画素(4096x2160)
はフルHDTV/1080Pの4倍ということになります。この4K プロジェクターは、六本木ヒルズのデジタルシネマ上映にて、スターウォーズの近作やバッドマン・リターンズの映写にも使われていましたね。銀座のSONYショウルームにおいても近く4Kシネマの常設展示をされると伺っています。
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press_Archive/200406/04-0604/

09: Hot Profucts: 今年NAB2007の話題のひとつは、フラッシュメモリを採用した”XDCAM EX"シリーズの技術展示でありましょう。既報の通り、PanasonicはP2システム(大きさはPCMCIAカードと同等で中身は4枚のSDメモリを実装)という、在来のテープベースDVCAMに加えてフラッシュメモリカードをベースにした記録方式で製品群を固めてこの数年間着実に実績を伸ばしてきました。
そこにSONYは、従来のテープベース(デジタルベーカム、HDCAM, HDV)やXDCAMに加えてサンディスクと共同で新フラッシュカードの規格(SxS:エス・バイ・エス、なにやら工務店の建築工法みたいな名前ですが...
)を提唱することとなりました(記者発表日本の記者発表)。形状は次世代のPCMCIAカードとも言える、Express Card仕様に準じたものとなっています。

10: Broadcast and Professional Display: 液晶スタジオ・モニター LUMA業務用液晶ビデオニター“LUMA”の新シリーズ『LMD-2450W』『LMD-2050W』『LMD-2030W』と液晶マスターモニター 『BVM-L230』などの展示...スタジオやプロダクション用のマスターモニター(編集映像の確認や色調整などをする基準モニター・ディスプレイ)はCRTベースしかあり得ないと主張していたSONYから液晶ベースのマスターモニターが出荷されるとは、驚きでありました。この分野はシバソク、松下(液晶のスタジオモニター以外にハリウッドと共同でTH58-PZ600などのシネマモードをマスターモニター画質にチューニングしつつあり)、などが凌ぎを削っていますが、CES2007で展示されたSONYの有機ELディスプレイは「国際フラットパネルディスプレイ展」でも話題となっていましたが、有機ELは明日から出荷可能なテクノロジーではないのか....今日この日に勝負するには液晶でとの思いでLUMAシリーズを投入してきたのでしょう。

11: XDCAM:SONYのプロ用放送機器のまさに旗艦プロダクツが青紫レーザー技術を採用したXDCAMで、大きなブース面積を占有しておりました。50GB/2層ディスクに対応し270分のHD記録を実現したHDカムコーダー『PDW-F355』とレコーダー『PDW-F75』、USB2.0 にてPCやノンリニア編集機とダイレクトに接続可能な小型ドライブ『PDW-U1』が展示(今秋発売予定のこと)されていました。ブースには、PCと接続されたマシンが6セット用意され、それぞれの6社の編集環境を並べて展示PDW-U1かPDW-F75を接続したPC環境におりて、SONY、グラスバレー(カノープス製)、Apple Inc. 、Avid、Adove、Soleyのビデオ編集環境を並べて展示しておりました。


12: Cameras and Camcorders:10数年来同じスタイルのブース中央にテレビスタジオの撮影現場を彷彿とさせるようなスタジオセットとモデルさんに、スタジオ照明があたりそのまわりに各種カメラが取り囲みビデオシューティングを体感できるものです。展示されていたカメラの全ては。こちらに一覧表があります。その中からいくつか気になったカメラとカムコーダを紹介しますと、F-23(デジタル・シネマ用のCineAlta対応カメラ)、EVI-HD1(HD対応の首ふりカメラ)、HDC-1000LW(発表からずいぶんたちますが、スタジオ用ハイエンドで納入実績も増えている模様..マルチフォーマットに対応!!)、SDベースの名機DXC-D50の後継機種DXC-D55WSH、HDデュアルフォーマット(1080i+720P)に対応したHDC-1400の記者発表におもわず感涙!(その理由はこちらに)!! HDC-1500Lでは、さらに1080/60、1080/24P、720/60Pをサポート(ほらね、9年前に私が言っていた通りになったでしょ!!!)
カムコーダーの分野では、 3万台を超える納入実績のHDCAMで日本でも発表されたばかりの
HDW-790記者発表)も展示、XDCAM HDの基幹製品PDW-F355、HDのスローモーション撮影に対応したHDC-3300HDC-F950(発表は2003年だが4:4:4をサポートし、スターウォーズの撮影にも使用されたCineAltaの最高機種として健在なり。2本の光ファイバで接続されたポータブルレコーダSRW-1とプロセッサユニットSRPC-1と一緒に使用することも可能。)いつの間にか、ほとんどの機種がフルHD(1920x1080、プログレッシブ)マルチフォーマットに対応しつつあると同時に従来は松下のお家芸であったバリアブル・ピッチへの対応もSONYも同等の機能を提供しています。


13: Digital Cinematography and Storage:こちらのブースでは前述のデジタルシネマに対応した CineAlta規格のカメラ、F-23やHDC-F950の展示に加えて、据置デッキの、“HDCAM-SR"のスタジオレコーダー 『SRW-5800』を発表。スタジオレコーダー初の1080/60p記録(YPbPr 4:2:2モード)や、880Mbps・HD RGB 4:4:4記録(HQモード:圧縮率1/2)に対応。2さらに、宇宙戦艦ヤマトの波動砲のような姿の...XRD技術を使用した4Kシネマに対応の巨大プロジェクタを見ることができました。ブース隣接のステージでは、ハリウッドのプロデューサーによる講演も実施...


ストレージの商品で目を引いたのが、まるで洋服ダンスか家庭用サウナかという大きさのペタ・サーバー、1Gb(ギガバイト)の千倍が1Tb(テラバイト)で、さらにその千倍が1Pb(ペタバイト)でありますが、ペタクラスのデータを格納するテープベースの格納庫が、PetaSite™ Automated Tape Libraryといって、30Tbから2.39Pbをこの1台で収納し、さらにそれを増設するとこのようなシステム構成で最大11Pbまで収納することができます。ハワイのハッブル宇宙望遠鏡すばる望遠鏡では一晩に50Gbを超えるデータを収集し格納しているそうです。通常の映像ライブラリだけではなく、膨大なデータを取り扱う必要性はどんどん増加する傾向にあり、この分野では半導体メモリや、BD、ハードディスク装置よりも記録密度が高く転送速度も速いテープドライブとテープカートリッジを棚に格納してアクセスする方式が主流でもあります。

14: IP TV Cafe:QVCとの提携が発表されその展示を背景にしたCafeまさしくCafeとしてくつろぎの空間を提供されていました。







15: Live Production Systems:大型中継車などで多く採用されているマルチフォーマットスイッチャー『MVS-8000シリーズ』の新商品『MVS-8000G』を発表。これら一連の放送機器のOSは、ほとんど全てLinuxの独壇場です。このスイッチャーは全世界で1200台ほどの納入実績を持っていますが、とてもユニークなサービス体制を提供しています。その話を聞いている最中にすぐ隣のブースにこのサービス環境を設計した張本人がブースの説明要員としてアテンドしていて、その説明内容にすっかり魅了させられてしまいました。



16: Professional Services:その説明要員の名前は、Mr. Karl Heinz, SONY Electronics Inc. NJのソニー社員のようであります。以下、前置きが大変長くなりましたが、




SONYに救世主あらわる,モノ造りのジレンマからSONYは脱却して、
サービス産業の覇者になるか?

随分おおげさなタイトルと思われるかもしれませんが、このプロ用機器のサービスプログラムに大きなSONYのビジネスの可能性を見出して、思わず鳥肌が立ってしまいました。このProfessional Serviceは、インターネット上でユーザー登録をしたプロ用機器の利用者があらゆるサービスをSONYから提供しましょう、というただそれだけのサービスなのですが....説明のパネルに提言されているそのサービス内容と思想は、こりゃ単なるユーザーサポートと違うぞ、これはモノ作りに終始しても利益は薄い、顧客はさらに廉価な製品を購入してしまう、その中でどのようにサービスの質を向上させメーカーと顧客の信頼関係を緊密にし、なおかつサービスそのものを今後の収益に繋げるか...という将来への青写真を見た気がしたのです。

そのサービス内容は、MAX(Module Advance eXchange)と呼ぶSupportNETのサービスのひとつで映像スイッチャーMVS-8000とDVS-9000の購入者に対する保守の一環というもので、プロ用の放送機器の保守管理を1.ユーザーの責任とする、2.ユーザーとSONYが適宜分担する、3.SONYがすべてを請け負うという3つの選択枝の中から...オプション2.を効率よく実現することを目指しています。では、なぜこのサービスプログラムが将来のSONYを担うとまで大袈裟に(?!?)私が思い込むことになったのでしょうか....それは、以下のプレゼン資料を撮影した中にそのヒントが沢山書かれているのです。いつも人間がシステムの運用を監視したり、問題が発生してから対処するのではなく、問題に至るまでの経過をいつもトレースして使用者(カスタマー)の許諾のもとでSONYが経過情報を共有したり、リアルタイムで監視をします。そして...

ちょっと、今日はお仕事が入ってしまったので以下次号ということに、あしからず

では、ふるかわでした

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